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第1巻第9話 西瓜の伝説

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第1巻第9話 西瓜の伝説

su-tich-dua-hau---truyen-co-tich-viet-nam.jpg・奴隷から高官になって、失脚して島流し、その後西瓜で大成功した、外国人枚暹(マイティエム)の話

◆有能な外国人の暹(ティエム)
 雄王(フンヴォン)の治世に、枚暹(マイティエム)という役人がいました。元は外国人で7、8歳の時、王が商船から買って奴隷にしていました。
 成長すると容貌は端正で、事物を覚えよく識り、王は枚偃(マイイェン)という名と安暹(アンティエム)という姓を授けました。また1人の妾を与え、暹(ティエム)には1男1女が生まれました。
 王は彼を信頼し、仕事をまかせ、彼はだんだん裕福になり、俸禄(ほうろく)も多くなりました。暹(ティエム)はおごり高ぶり傲慢になると、いつも「すべて私の前世のおかげであり、主人の恩のためではない。」と言いました。
◆暹(ティエム)追放される
 王は聞いて怒り言いました。「臣下としたのに、おごり高ぶり傲慢で、主人の恩を忘れ、前世のためなどと言う。宮廷から連れて行き、無人の地に置いて、それでも前世があるかどうか見てみるがよい。」
 それから枚偃(マイイェン)を峨山(ガソン)縣(別名は夾山(ザップソン))の海の河口の州で、四方すべてが砂と水に囲まれた、人の往来もない所に連れて行きました。4、5か月間は食べるのに十分な食べ物を与えられましたが、食べ尽くせば死んでしまいます。
 暹(ティエム)の妻は慟哭しましたが、暹(ティエム)は笑って言いました。「天が私を生んだのだから私を養うのは当たり前だ。生も死も天による。何も心配することはない。」
◆西瓜の種
 見ると1匹の白い雉が西から飛んで来て、山頂に止まり、3、4回鳴くと、6、7個の瓜の種が音と鳴き声と共に砂の上に落ちてきて、やがて青々と茂り、実を結びました。安暹(アンティエム)は喜んで言いました。「これは怪しい物ではありません。私たちを養うために天が与えた物です」。切って食べると、いい匂いでおいしく美味しく、気持ちも爽快になり、次の年に植えるよう種も取っておきました。どれだけ食べてもなくなることなく、また妻子を養う米に交換もできました。
 暹(ティエム)はその果物が何というか知りませんでした。雉が西の方から飛んできて種を持って来たので、それを西瓜(タイクア)と呼ぶ事にしました。魚釣りの人々も、商人たちも、みなおいしいと思いました。近くの村や遠くの村の人々は、みなこの種を手に入れるために買いに来ます。
◆暹(ティエム)王宮に帰る
 王は暹(ティエム)のことを思い出し、まだ生きているか死んでいるか、人を見にやりました。その者は王宮に戻り王に報告しました。王はため息をついて嘆いて言いました。「奴はそれが彼の前世のせいであると言ったが、それは実に嘘ではなかった」。それから彼を呼び戻し、以前の職に戻し、奴隷も与えました。
 暹(ティエム)がいた砂浜は安暹(アンティエム)浜と呼ばれ、その場所は枚(マイ)村と呼ばれています。安暹(アンティエム)の祖先が住んでいた場所は清華(タインホア)省峨山(ガソン)県の安暹(アンティエム)州だとして崇拝する人もいます。